老人同士の怒鳴り合い

 抒情的なタイトルとは違って、映画の中では老人同士の怒鳴り合いや乱闘騒ぎなど、感情をむき出しにする、韓国映画らしい激しい場面も多い。

『朝の海、カモメは』

「確かに登場人物たちが感情をぶつけ合うシーンが多く、中には不快に思ったり戸惑ったりする方もおられるかもしれません。しかしそれぞれのシーンを通じて、一緒に泣いたり笑ったり怒ったりしながら、だんだん登場人物の気持ちに共感していただくようになってもらえれば嬉しいです」

 壇上では言及されなかったが、情に厚い主人公ヨングク爺さんを演じるベテラン俳優ユン・ジュサンや、失踪した息子を案じる老母を感情豊かに熱演したヤン・ヒギョンをはじめ、映画やドラマで見たことのあるだろう実力派のキャストも本作の大きな見どころだ。

(作品紹介)
寂れた漁村で暮らすヨングク爺さんは、かつてベトナム戦争で海兵隊員だった頑固者。一緒に働く船員のヨンスはうつ病気味で、同情したヨングク爺さんはヨンスの「失踪」に手を貸す。彼らの計画は、残されたヨンスの母親やベトナム人妻、仲間の漁師たちや警察を巻き込んでの大騒動に発展していく……。時代に取り残された人々の焦燥と閉塞に抗うヨングク爺さんの不器用な愛情が胸を打つ。
監督・脚本:パク・イウン/出演:ユン・ジュサン、ヤン・ヒギョン、カザック/2024年/韓国/113分/公開未定

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