日本を代表するアニメーション作家・宮﨑駿(みやざきはやお)(1941―)は、「風立ちぬ」公開にあたって、「文藝春秋」で作家の半藤一利氏と対談した。そのおよそ2カ月後、引退を宣言。それを受けて、スタジオジブリをともに牽引してきたアニメーション作家・高畑勲氏、ジブリのプロデューサー・鈴木敏夫(すずきとしお)氏との初鼎談に臨んだ。ところが、宮﨑は平成29(2017)年5月に新作長編の制作を発表、10月にはそのタイトルが「君たちはどう生きるか」であることを明かした。長年、宮﨑と並走してきた鈴木氏が、その尽きせぬ創作意欲の源泉を探る。
創造(クリエイティブ)に一番必要なモノは何か? それは幼児性だ、と、その人は言い切った。幼児性なら、宮﨑駿は誰にも負けない。
頭に像が浮かんだ。宮さんの日常が、そして、彼とつきあって来た足掛け40年の歳月が。そういえば、宮さんと組んで仕事をすることになった時に、宮さんの大先輩、大塚康生さんがこんなことを教えてくれたことがある。
「子どもだと思ってつきあいなさい。相手が大人だと思うと腹が立つ、子どもだと思えば腹は立たない」
宮さんという人を知り尽くした人ならではの至言だった。その後のぼくは、この言葉に何度、救われたことか。

「千と千尋の神隠し」が、興行の日本記録を作った頃の話だ。宮さんは、作品に関わったスタッフひとりひとりと面談した。質問はただひとつ。
「『千尋』のヒットの理由は、内容か宣伝か?」
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source : 文藝春秋 2018年1月号

