「文学はコンプライアンスからは少し離れたところにあってほしい」(桐野)
「世代によって『リアリティ』がだいぶ異なる」(島田)
――第173回芥川賞・直木賞は、いずれも「該当作なし」という結果になりました。両賞ともに受賞作が出なかったのは、1998年以来、27年ぶり、90年の歴史で6回目のことです。この結果は大きく報道され、SNSでも議論が巻き起こりました。なぜこのような結果になったのか、そしてあらためて文学賞の意義をうかがえればと思い、急遽、直木賞選考委員の桐野夏生さんと芥川賞選考委員の島田雅彦さんにお越しいただきました。
桐野 なぜ私が呼ばれたのかと考えていたのですが……。
島田 日本ペンクラブ会長だし、発言する勇気があるからじゃないですか。
桐野 いえ、お断りしておきますが、選評が載る「オール讀物」の発売がまだなので、詳細は言えないそうです。すみません。私が思ったのは、27年前のダブル「受賞作なし」の時、私が書いた『OUT』が直木賞の候補になっていたので、それで呼ばれたのかと。
島田 ああ、その時でしたか。私は芥川賞の候補に6回なって、結局受賞できなかったのですが、そのうち5回が「該当作なし」でした。芥川賞の歴史を振り返ると、「受賞作なし」はそれほど珍しいことではありません。特に私が候補になっていた1980年代は、20回中9回、受賞作が出なかった。
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