公募抽選倍率は11倍――。今でも高い人気を誇る青山霊園。他の都立霊園と比較しても、その人気は群を抜いている。8月15日に行われた抽選会で当選が叶わず涙を飲んだ人もいただろう。
そんな青山霊園の人気を支えているのは、どんな人々なのか。そして、彼らだけが知る、青山に眠るための“奥の手”はないのか?
青山霊園内で配布されている地図には、北側と南側の中央入口付近に計3箇所、「茶」という見慣れないマークが記されている。これは「お茶屋」と呼ばれる店を示す印だ。
お茶屋とは、青山や雑司ケ谷など歴史ある一部の霊園に存在する“墓地内のコンビニ”的商店だ。供花や線香の販売をはじめ、墓所の手入れや清掃の代行、寺院・神社の紹介、墓石工事の仲介、法要やそれに伴う会食の手配など、お墓にまつわるサービス全般を請け負っている。
「昔からお墓にまつわる『よろず相談所』なんですよ」
そう語るのは、「墓地茶屋ちばや」の五代目店主・高橋良江さんだ。同店は明治7(1874)年に青山霊園が開設された当初から営業している。緑色の外壁に植木が枝を広げる一軒家風の店先には、花や線香が並び、墓石を洗うための手桶や柄杓もある。1937年生まれの高橋さんは、戦前から青山霊園を見守ってきた。今年で米寿とは思えない矍鑠とした様子で、話を続ける。
「うちは4世代にわたり受け継いできました。曾祖母は、『小さい頃に鼠小僧の引き回しを見た』と言っていました。本当かどうか分かりませんけど(笑)。昔は、この辺にも墓地茶屋が10軒くらいあったでしょうか。お墓参りに来る方も大勢いたので、お盆やお彼岸の時期には家族総出で対応したものです。
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