青山、雑司ケ谷、谷中、高台寺、高野山……東西代表格をウラ側まで徹底取材
東京メトロの外苑前駅から徒歩で約8分。初夏の平日、青山霊園の敷地に入ると、土と草の匂いをかすかに感じる。霊園の中だけ時が止まっているかのような静けさだ。空を見上げると、周りを囲むのは高層ビル。この霊園の一角だけが、緑に包まれた都心のオアシスのようだ。
そんな霊園内の入り組んだ路を進んで行くと、姿を見せたのは灰色の猫。その後を追うように歩を進めると、腰を下ろせる石をみつけた。霊園内にはベンチの数が少なく、段差も多い。園内の造りは質素だが、その歴史と立地から“ブランド墓地”として知られている。
青山霊園は、計8か所ある都立霊園の一つだ。都立霊園に墓を建てるには、抽選で当たらなければならない。その抽選は、基本的に年に一度行われており、今年(令和7年度)の都立霊園全体の平均倍率は一般墓(一般埋蔵施設)で2.9倍だ。地方の公営墓地で、倍率が1倍を下回る“墓余り”が問題となっている現状をみれば、その倍率の高さがわかるだろう。
さらに都立霊園の中でも、青山霊園の倍率は突出している。今年8月15日に抽選が行われた青山霊園の一般墓の倍率は、実に11倍だ。ちなみに昨年は12.9倍と、例年10倍以上の高い倍率で推移している。
青山霊園には及ばないものの、谷中霊園も5.3倍(昨年度6倍)という高倍率。さらに雑司ケ谷霊園は、一昨年約60年ぶりに新規区画を募集し、今年度の倍率は3.6倍になった。

ちなみに抽選会はユーチューブでライブ配信までしている。こうして墓に入りたくても当たらない状況は一部の墓地に人気が集中し、ブランド化しているからに他ならない。
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