大学の名誉教授が子どもだったころ
1964年に刊行されて評判になった小学生の日記の復刊である。教科書に載ったこともあり、もしかしたら、読者の中には読んだことのある人がいるかもしれない。
著者の蒲池美鶴さんは1951年生まれで、刊行当時は中学生だった。松山で両親と兄と暮らす「みつる」が書き続けた1年生から6年生までの日記を、国語教育の専門家だった父が選んで編んだものである。
子どもの目は素直で曇りがない。見るものすべてに驚きがあり、心のはずみが伝わってくる。
1年生のとき、おべんとうを忘れて家に戻って近所のおばさんに家の鍵をあけてもらい、自分でごはんをよそって、れんこんをおかずに食事をすませ、かあちゃんがとうちゃんにそのことを話して「ほうーすごいんじゃな」とほめられた日のこと。
おしうりがやってきて、かあちゃんが居留守を使い、みつるが応対に出た日のこと。おじさんは子ども好きらしく、みつるの年齢を聞いて「だっこしてあげる」と言ったりするのだが、みつるは「ゆうかいされては 大へん」と警戒してだっこさせない。
先生の「おちょうし」(軽口)のことや、初めて家にテレビが来た日、「うれしさのあまり、ぽうっとなってしまった」ことなども書き留められている。

ひらがなばかりだった日記に徐々に漢字が増えていき、6年生になると大人顔負けの文章を書くようになり、早送りでみつるの成長を見せてもらっているよう。
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