広告代理店から海女

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銀座のキャリアウーマンが海中に生きることを決めた理由

聞き手・本誌編集部

「日本一海女の多い街」、三重県鳥羽市。市街地から30分ほど車を走らせると、太平洋の海原が一面に広がる石鏡町(いじかちょう)に着く。今も漁村文化が色濃く残るこの地で「最年少海女」として活動するのが、上田茉利子さん(42)だ。

 海女の生活は、毎朝6時に起床して、まずは天気を確認するところから始まります。自然が相手なので、悪天候で海が荒れていたら、仕事はできません。今日は海に出られる、となったら7時から今の「職場」である海女小屋に行き、身支度をして漁に出ます。75分くらいの漁を1日2回。8時45分から1回目の漁が始まり、2回目は11時から。午後は獲れた貝などを漁協に出荷し、2時半くらいに仕事を終えます。

 今のシーズンは10月1日から口開け(漁の解禁)になったサザエ漁がメインで、12月からはナマコ漁が始まります。ちなみに4月から9月までは、名産のアワビが獲れる季節で、一番の収入源でもあります。石鏡のアワビは塩加減が最高で、本当に美味しいんですよ。

 7年前まで東京・銀座に本社を構える広告代理店、朝日広告社に勤める会社員だった。出身は千葉県の船橋市。父親はCMディレクター、母親はスタイリストという家庭に育った。

上田茉利子さん Ⓒ本人提供

 子どもの頃から、海が好きでした。自宅の近くにあった三番瀬海浜公園に毎週のように連れて行ってもらって、アサリを採ったり、貝殻を拾ったり、カニを獲ったりしていました。あと、木登りも好きでしたし、空き地の畑に勝手に小屋を作って怒られたこともあり、活発でしたね。

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source : 文藝春秋 2025年12月号

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