ふしぎな相撲ブーム

エンタメ スポーツ

 私は根からの相撲ファンではない。

 ただし、昔、私の出身地である愛知県蒲郡(がまごおり)市からひとりの横綱がでたとき、その横綱を熱狂的に応援した。その横綱とは、玉の海(たまのうみ)である。

 そのころの相撲界の力士の趨勢(すうせい)図は、大鵬(たいほう)の一強で、台頭(たいとう)しはじめた玉の海が横綱になるためには、大鵬を倒さなければならないというのが条件であったようにみうけられた。とても歯がたたなかった大鵬に玉の海がようやく勝ったとき、私は涙がでるほどうれしかった。

 横綱になった玉の海が病床で急逝(きゅうせい)したあと、私の相撲熱はすっかりさめて、以後、どれほど世間が騒ぐ大関、横綱がでても、関心をむけなかった。

宮城谷昌光氏 Ⓒ文藝春秋

 それからどれほどの歳月が経(た)ったのかわからないが、昨年(令和6年)、家内が小さく奇声を揚げた。

「静岡県から、ふたりも力士がでているわ」

「へえーー」

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source : 文藝春秋 2025年12月号

genre : エンタメ スポーツ