土俵を築る

“聖域”ができるまで

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15日間にわたる力士たちの死闘を支える土俵。豪快かつ繊細な熟練の技が神聖な大相撲の舞台を築き上げる。受け継がれる「隠された妙技」の数々を追った。

 

古きを壊して新しきを(つく)

 日本有数の屈強な男たちが闘う大相撲の土俵は、裏方である呼出(よびだし)たちの手によって一から形作られていく。初日の前日、相撲の神を迎えるために、清められた土俵で「土俵祭」が、立行司が祭主となって厳かに執り行われる。そのため、初日前の3日間は呼出連が総出で、土俵造りに勤しむのだ。それは「土俵築(どひょうつき)」と呼ばれ、まるで工事現場の職人か、はたまた伝統工芸の担い手か――そう錯覚するほどの働きぶりだ。

 本場所中は裁着袴(たっつけばかま)姿で力士の名前を呼び上げ、懸賞旗を持って土俵上を回り、力士が力水を付ける際にサポートする呼出たち。しかし、“縁の下の力持ち”として、まさに大相撲の土台を支える重要な仕事をも担うのだった。長年にわたり受け継いできた伝統と経験で、唯一無二の“晴れ舞台”をその手で創り出し、いのちを吹きこむ。

 

1.両国国技館では、まず先場所で使われた乾いた古い土俵を壊す

2.塩分の含まれた土は産業廃棄物となりトラックで搬出する

3.およそ8トンの新しい土を運び込む。荒川沿岸の荒木田の土の粘度が最適

4.小タコと呼ばれる専用の道具で土を叩き固める

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source : 文藝春秋 2025年12月号

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