親子のかたちは時代を映す。昭和59年から40年続いた長寿連載、一号限りの豪華リバイバル
農家のお母ちゃんの多くがそうであるように、酪農家である母はパワフルな人だ。
小さな病気や怪我はありつつ、子どもを4人産み、大病はせず、年間365日盆暮れ正月土日の休みもなしに働きづめ。しかも、労働の内容は家事+農作業+チーズ製造なのだ。長男夫妻に経営移譲し、Uターンした次男がチーズ製造の一部を担うようになってからさすがに仕事量は減ったはずだが、今でも朝の搾乳には毎日出ている。昭和21年生まれ(早生まれ)、齢79で、これだ。原稿を書き疲れてヘロヘロしている娘の私が同じ年齢に達した時、同様のバイタリティを発揮できるか自信がない。というか、たぶん無理である。

その脅威的な生命力のヒントを得たくて、母がうちに来た時や帰省の際に、コッソリと観察してみた。
ひとつ気づいたのは、他人への興味が強いことである。
ある時は、所用で人に電話をかけると用件をさっさと伝え終え、あとは最近会った知り合いの話だの地元の噂話だのを延々としている。「別にそれ母ちゃんには関係ないのでは」とツッコミを入れたくなることもままある。
またある時は、NHKでニュースを読む糸井羊司アナウンサーを見ながら、「糸井さん、札幌から東京に転勤したらすっかり頬のあたりがシュッとしちゃって……忙しいんでないの、心配だわ~」と呟いていた。ちなみに糸井アナは別にうちの親戚でもなんでもない。
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