■言霊のもちぐされ
第1回 居丈高さん、こんにちは
第2回 勝手に総裁“戦”観戦記
第3回 顔面字面(じづら)フリーク
第4回 政治家さん不倫キブン
第5回 言葉の偏食者
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第15回 恐怖のアラフォー・アタック
第16回 山ちゃん見参! 今回
第17回 にごり水もまた美し
第18回 文脈さん、いらっしゃい!
第19回 「文学にうってつけ」を捜して
少し前、佐川急便の元従業員の女性による「ちゃん付け」訴訟なるものが話題になっていた。男性従業員が彼女の名前を「ちゃん付け」で呼んだり、「体型いいよね」とか、「かわいい」などと話しかけたのがセクシャルハラスメントに当たるとの判断。東京地裁は男性に慰謝料の支払いを命じる判決を言い渡した。女性は、鬱病や適応障害を発症して休職に追い込まれていたとか。
TVの情報番組などでは識者を自任するコメンテーターたちが、「ちゃん付け」がハラスメントである今の常識にアップデート出来ていないと鬼の首でも取ったかのように語っていたが、本当にそれだけだろうか。
私は、「ちゃん付け」以前に、男性が女性従業員に向けていた性的視線が問題なんだと思う。毎日毎日、そんな目で見られて、容姿について話をされたりしたら、不快極まりないだろう。そして、追い打ちをかけるように「ちゃん付け」。つまり、この男の「ちゃん付け」は、親しみを込めた同僚に対する呼びかけではなく、性的対象に対する欲望の発露なのである。「ちゃん付け」をする際には、必ず、彼女の気に染まない性的なニュアンスが含まれていた筈だ。距離を詰めて個人的交際の域に持って行きたい時の「ちゃん付け」と親しみ故に使うそれは全然違う。
山田ちゃーん、原稿進んでる?
と、ここで思うのは、その「ちゃん」を名字に付けたのか下の名前の方に付けたのか、ということだ。名字の「ちゃん付け」は、放送業界、芸能界では、私もよく耳にした。わざとそちらの業界馴れをアピールしているみたいで、やな感じだと思った。生理的に私とは合わない。出版業界では滅多に使わないのではないか。
たとえば、私の山田に「ちゃん」を付けて、「山田ちゃーん、原稿進んでる?」などと言われたら虫酸が走る。おまえに渡す原稿などない! ときっぱりと拒否するだろう。しかし、上の漢字を取って「山ちゃん」だったらどうだろう。「山ちゃん、今月の締め切り過ぎてるよ」と言われたら? ごめんなさーい、すぐやります! と平身低頭の体(てい)で謝るだろう。
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