メンタル相談はAIの時代になる

山本 晴義 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
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77歳心療内科医が体験した「実力」と「課題」

「勤労者 心のメール相談」をはじめたのは、2000年5月のことでした。それから25年、累計20万件の相談を受け、私ひとりですべてに返信してきました。初年度は年間に116件だった相談が、現在は7000件を超えました。

 私は77歳を過ぎた今も心療内科医として勤務し、その傍らメール相談に答えています。23年からは生成AIの活用に取り組み、3年目を迎えて試験運用から実用化の段階に入りました。今回は、AIを使って実際にどんな取り組みをしているのか、具体的な事例を交えながら紹介したいと思います。

 まずは、メール相談をはじめた経緯から説明しましょう。そもそものきっかけは、2000年に労働省(現・厚生労働省)の方針で、全国19の労災病院にメンタルヘルスの相談窓口を設置するように要請があったことでした。

 バブル崩壊後の不況やリストラ、非正規雇用の増加などが進むにつれて、働く人のメンタルヘルスが社会問題化した時期でした。通院しなくても相談しやすい窓口を設けなさい、というわけです。

 他の労災病院は、電話相談で対応する方向で進めていました。しかし私は、メールのほうが適していると考えました。電話は感情が強く出やすいですが、メールは言葉を選ぶ時間があるので、相談者が落ち着いて状況を説明できる。さらに相談する時間帯を気にしなくていい。

 さっそく職場で提案すると、医師や心理士から猛反発をくらいました。「顔が見えない相手に診断などできない」「医療過誤で訴えられたらどうする」など、どれももっともな意見です。上からの要請、下からの反発に板挟みとなりましたが、「ピンチはチャンスだ」と思い直し、ひとまず私ひとりでスタートしてみようと決めました。

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source : 文藝春秋 2026年2月号

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