いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。
2025年1月、第二次トランプ政権の発足は日本企業にも大きな衝撃を与えた。その最たるものは関税政策だが、人事担当者や女性たちが動揺したのは反DEI(Diversity, Equity and Inclusion)政策だ。アメリカでは「Diversity」という言葉が言葉狩りのように一掃され、女性やマイノリティ人種に対して真の公平性を担保する「Equiy」施策が徹底して見直され、廃止に追い込まれている。
日本でも影響はすぐに現れた。毎年3月8日の国際女性デー前後では各社がイベントを開くが、米系企業では縮小やDiversity→Equalityへの言葉の置き換えが相次いだ。日本企業からも米国支社のDEI担当を廃止したという話を聞いた。なにより「アメリカでも見直しが始まっているから」と、嬉々としてDEI施策を見直そうとする男性役員や男性管理職が出現した。
だが日本の現状は、アメリカの政策転換をまともに受け止め、真似する段階ですらない。毎年発表されるジェンダーギャップ指数(GGI)では、2025年の日本の順位は148カ国中118位で、この数年先進国では最下位が定位置だ。足を引っ張っているのは政治(125位)、経済(112位)の両分野であることも変わらず、経済分野は女性管理職比率の低さや男女の賃金格差が大きいことが要因だと指摘され続けている。

政府は第5次男女共同参画基本計画で、2025年までに企業の課長職に占める女性を18%にする目標を掲げたが、現状は12.3%とほど遠い(2024年度雇用均等基本調査)。係長職では21.1%とやっと2割を超えたが、部長職はいまだに8.7%と1割に満たない。女性活躍推進法が成立して10年。この間係長職は多少増えたものの、課長職、部長職は足踏み状態だ。政府は2030年に東証プライム上場企業に対して、女性役員比率30%以上を目標としているが、努力義務にとどまっているため、一部の先進企業以外は本気で取り組んでいるとは思えない状況だ。
一方、反DEIのバックラッシュが激しいアメリカはすでに課長職レベルで41%、欧州やアジアの国でも概ね3~4割に達している。女性管理職比率が上がることで役員の女性比率も上がり、確実に意思決定の場の景色は変わってきている。
変わる契機となった一つが、2008年に起きたリーマンショックだった。金融機関の白人男性に偏った同質性の高い経営層が危機を招く一端となったことが様々な検証レポートで指摘され、その後、女性など多様な人材が経営に参画する組織の方が危機後も回復が早く持続可能な成長につながること、リスクの耐性も高いことが認識され始めた。
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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

