加藤一二三、入江昭、長谷川和彦、元谷外志雄、モーリー・ロバートソン

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偉大な業績を残し、世を去った5名の人生を振り返る追悼コラム

★加藤一二三

 将棋棋士の加藤一二三(かとうひふみ)は天才と讃えられ数々のタイトルを獲得するいっぽうで、飄々とした風貌が愛された。

加藤一二三 Ⓒ文藝春秋

 2016(平成28)年、中学生でデビューした藤井聡太の最初の相手が加藤で、新旧天才少年の対決に報道陣が将棋会館に殺到した。対局後、62歳年下の藤井が「加藤先生の仕草が可愛かった」と述べたので、さすがの加藤もびっくりしたという。

 1940(昭和15)年、福岡県の稲築村(現・嘉麻市)に生まれる。近くに三井財閥系の炭鉱があり、父も三井系の会社に勤めていた。子供のころは野球に夢中になったが、周囲に将棋好きが多く、覚えるとたちまち上達して、強い人がいると聞くと対局に出かけていくようになる。

 小学6年生のとき、大阪の将棋会館でプロ棋士と対局中、その場にいた升田幸三が加藤の将棋を見て、「この子、凡ならず」と感嘆したという。11歳のとき関西奨励会に入り、54年には四段となり中学生でデビューを果たした。

 その後、18歳でプロ棋士トップリーグであるA級に入り、「神武以来の天才」と呼ばれ、20歳3カ月の最年少で名人戦の挑戦者となった。しかし勝ち数は増やしてもタイトルが獲得できなかった。

 最初のタイトルは68年度の十段戦(現・竜王戦)で、大山康晴との対局を制して獲得した。このとき第4局で、7時間長考した末の一手が決め手となり、「将棋とはよくよく奥が深いものだ」と思ったと加藤は後に語っている。

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source : 文藝春秋 2026年4月号

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