AIは世界を理解するためのパートナーになるか

第24回

大栗 博司 物理学者
ビジネス サイエンス

 今年1月、アスペン物理学センターで開かれた冬の研究会「AIのための理論物理学」に参加しました。

 この連載の第10回にも書きましたが、アスペン物理学センターは、コロラド州、ロッキー山脈のリゾートタウンであるアスペン市に、1962年に設立された研究所です。

 夏には世界各地の物理学研究者が集まり、各々数週間滞在して、意見交流や共同研究を行います。美しい木々に囲まれた約2万平方メートルの敷地には講堂と研究室のある建物群が点在し、屋外にも黒板やテーブル、ベンチが置かれ、議論ができるようになっています。

 設立されてから最初の20年ほどは夏の3か月間しか活動していなかったのですが、1985年から冬にも毎年8件程度の研究会を開催するようになりました。

 通常の研究会と異なり、朝は8時半から11時まで講演が続いた後、長い休みがあり、午後5時から再開して8時まで続きます。スキーリゾートなので、休み時間にスキー場に行きたい参加者がいるからです。

 このように魅力的なロケーションなので、数多くの研究会が提案され、毎年厳しい審査が行われます。

「AIのための理論物理学」は2019年に始まったシリーズで今回が3回目。私は、第1回の時には、このセンターの総裁として提案を審査する立場でした。当時からAIには「物理学の道具」として数多くの応用があり、そのようなテーマの提案はたくさんあったのですが、その逆というのに目を引かれました。

 そもそも、AIの源流は物理学にあります。これは、2024年度のノーベル物理学賞が、AIの基盤技術である機械学習に関する発見と発明に対して与えられたことでも明らかです。

 物理学とは自然界の基本法則を発見し、それを使ってこの世界の様々な現象を説明する学問です。説明する現象はどのようなものであってもかまいません。物理学の博士号を持つ研究者がAI企業に少なからず就職しているのも、基本法則に立ち戻って考えるというアプローチがAIでも威力を発揮するからでしょう。

 そこで、物理学者とAIの研究者を一堂に集め、AIの基本法則を解明し、それを性能向上につなげることを目指す研究会を承認しました。

大きいほど良い?

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source : 文藝春秋 2026年4月号

genre : ビジネス サイエンス