襲名からの28年間と、大阪松竹座への想い
――昨年の10月に文化勲章受章者が発表され、そのお一人に選ばれました。その時はどんなお気持ちでしたでしょうか。
仁左衛門 最初は驚きながらも嬉しく、受章を仏壇の父母や亡くなった兄弟に報告しましたが、落ち着いてふと「私がいただいて良いものだろうか」と思いました。
私の若い時に思い描いていた文化勲章は、私がいただけるような勲章ではなかった。手の届かない遠い存在でした。ですから居心地は悪いです。でもありがたい(笑)。過去に受章された皆様方が私がいただいたことでがっかりされないよう精進を続けたいと思います。

――2025年は『仮名手本忠臣蔵』の大星由良之助、『菅原伝授手習鑑』の菅丞相(かんしょうじょう)、『義経千本桜』のいがみの権太という「三大名作」と呼ばれる演目の大役を後輩とのダブルキャストで勤められました。ご受章と合わせて節目の年になられたのではないでしょうか。
仁左衛門 節目と言えば、私にとっては毎回の公演が節目です。いずれにしても大切なお仕事ばかりですから、その都度やりおおせた時が私にとっては節目です。体力的に1カ月通して全力で大役を勤めることが難しくなってきていますので、最近はダブルキャストを増やして後輩に助けてもらっています。
松本幸四郎さんに指導
――菅丞相は平安時代の政治家・菅原道真のことで、『菅原伝授手習鑑』では、その失脚から大宰府に左遷されるまでが描かれています。なかでも「道明寺」は、丞相本人と自身が彫って生あるもののごとくに動く木像との2役を演じることが要求されます。大変な難役ですが、ダブルキャストで勤められた松本幸四郎さんにご指導もされました。
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