■連載「日本人へ」
第268回 アナログの私がAIを歓迎する理由
第269回 素朴な疑問
第270回 外野席からの想い
第271回 「中卒の星」の声にも耳を傾けてみませんか
第272回 今回はこちら
古代のローマ史最大の有名人であるユリウス・カエサルを、ドイツ人ならば、ローマ史上最高の創造的天才、と言って誉めてくれる。フランス人でも、いかなる国に生まれようとも指導者になっていただろう、と讃える。ところがイタリア人ときたら、二千年昔に生きた男なのに自分たちの先輩とでも思っているのか、ローマ史上最高のマスカルツォーネ、と言っては笑うのだ。このイタリア語は、日本の辞書では「無頼漢」と訳しているけれど、「悪党」と訳すほうが適切と思う。そんじょそこらにいやというほどいる「小悪」ではなく、「大悪」なのだから。そして歴史とはしばしば、善人を自認している人よりも悪党によって変わるものなのだ。それも、悪い方向にではなく良い方向に。
一八六四年、蛤(はまぐり)御門の変と呼ばれる乱が京都で起る。長州藩の兵たちが起した騒乱だが、そのときに御所を守るという名分のもと長州勢の撃退に向ったのが、会津と薩摩の連合軍。敗れた長州勢は、これ以後京都から追放されてしまう。この時期の長州は、政治的にも軍事的にも経済的にも、散々な状態にあったろう。木戸孝允でさえも桂小五郎時代にもどって、道場破りに見舞われた町道場の助っ人というアルバイトをして稼ぐ、なんてこともできなかったろう。この時期の長州は、誰もが薩摩に対してカンカンに怒っていたのも当然だ。
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