生命への賛歌が息づく、動植物をかたどったジュエリーたち。自然を慈しみ、ときに戯れながらその美に心を重ねてきた日本人の感性は、それらの輝きともどこか響き合う。命を吹き込まれた宝石たちが描き出す豊かなワンダーランドへ。

Tiffany & Co.(ティファニー)
20世紀を代表するジュエリーデザイナー、ジャン・シュランバージェが1965年に生み出した、自然への愛情から誕生した傑作。大粒のアメシストの上にダイヤモンドをまとった鳥が羽根を休める。卓越した石選びと精緻なセッティングによる賜物。ペンダント「バード オン ア ロック バイ ティファニー」アメシスト×ダイヤモンド×ピンクサファイア×Pt×YG ¥15,455,000(ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク☎0120-488-712)
失われゆく四季を輝きの物語に
日本人は四季の移ろいを愛で、その変化のなかに美を見いだしてきた。そうした自然を愛でる感性は、和歌や屏風絵、染織、陶芸など、さまざまな文化表現の礎となっている。西洋に端を発するジュエリー文化においてもまた、自然は尽きることのない創作の源泉であった。花や鳥、動物をモチーフにした作品は単に美しく可愛らしいというだけでなく、豊穣や愛、長寿などの願いが託され、時代や国境を越えて人々を魅了し続けてきた。
今回紹介するのは、世界を代表するジュエラーたちによる珠玉の名品である。目を奪う宝石の美しさはもちろん、それぞれの生き物や植物の特徴を巧みに捉えた描写力に驚かされる。卓越した石使いと職人技によって表現されたモチーフは、まるで自然の一瞬を永遠へと留めた芸術作品のよう。身に着けることができる小さな自然として、そこには豊かな物語が存在する。
近年、日本では春と秋が短くなり、四季が“二季”化しつつあるともいわれる。季節の機微を感じる機会が減りつつある今だからこそ、花鳥風月を映したジュエリーに改めて目を向けたい。鳥が舞い降り、薔薇が咲き誇る──。儚い自然の一瞬を、宝石の輝きとともに身にまとう。そんなジュエリーの魔法を堪能したい。
可憐なモチーフが芽吹く季節を祝福する

Van Cleef & Arpels(ヴァン クリーフ&アーペル)
鮮やかなオーナメンタルストーンと柔らかなマザーオブパールが響き合い、自然界の調和を表現。1906年以来受け継がれてきた伝統的なモチーフの蝶が、スズランやプラムの花々とともに配された。季節の息吹を愛するメゾンの美意識を感じ取れる作品。「ラッキー スプリング パピヨン」右:リング ¥1,386,000、左:クリップ ¥1,584,000 アゲート×マザーオブパール×ラピスラズリ×YG(ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク☎0120-10-1906)
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