「吃音 伝えられないもどかしさ」著者・近藤雄生さんインタビュー

著者は語る

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使用_近藤雄生氏_トリミング済み
 
近藤雄生氏

「吃音」とは言葉に詰まる、つまり、どもる症状のことを言う。世界中のどの国を見ても、100人に1人の割合で吃音を持つ人がいる。著者の近藤雄生さん自身も、幼い頃から吃音に悩まされた。

「言葉を意識すると、発することが難しくなるんです。ファーストフード店に行って『てりやきバーガー』を頼もうとしても、『て』がなかなか出てこない。『えっと……』と時間を稼ぎながら、ぱっと言えそうな言葉を探し、食べたくなくとも『チーズバーガー』を頼んだりするんです。一番辛かったのが『予期不安』でした。人と話していると、途中でどもるんじゃないか……という恐怖や不安が常に頭にまとわりつく。そうやってストレスが溜まっていき、話すことが億劫になってしまっていました」

 元々は物理学者や宇宙飛行士になりたいという夢があったが、「こんな状態では」と就職を諦めた。東大大学院を修了後、「旅」と「書くこと」が好きだったためフリーライターの道を選択。2003年から、妻と海外を回って雑誌に寄稿する生活を送り始めた。中国滞在中のある日、吃音の症状が改善していることに気づく。異国で暮らしたことで緊張感が和らいだのか―理由は今でも分からない。日本に帰国後、2013年から吃音に悩む人々の取材を始めた。

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source : 文藝春秋 2020年2月号

genre : エンタメ 読書