男性のがんの罹患者数でトップが前立腺がんだ。2000年頃には5位前後だったので、急増したことがわかる。
前立腺がんは加齢によってリスクが増すため、高齢化の影響がある。また、食生活の欧米化がリスク因子だとする研究もある。
ただ、急増の最大の要因は「PSA検査の一定の普及」だと野々村医師は言う。前立腺の異常を示す血中PSA値を調べることで、ほぼ自覚症状がない早期の前立腺がんまで見つかりやすくなったためだ。
日本では1990年代後半から自治体が実施するがん検診で徐々に広がり、2000年代に一般化した。
しかし2008年、厚労省の研究班がPSA検査を「死亡率減少効果の有無を判断する証拠が現状では不十分」とし、公的検診として行わないことを推奨。現在は、多くの自治体で数百円から数千円程度の自己負担で行うオプションになっている。
野々村医師は、この現状を嘆く。

「アメリカでも一時期、PSA検査に慎重な見解が出されましたが、その後死亡リスクが上がったことで、再び推奨に転じました。ヨーロッパでも疫学研究の追跡データで有用性が証明されたので、日本もデータを踏まえて見直すべきなのですが」
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