日本の鏡像としてのイスラエル
あまり言われないが、冷戦下の日本とイスラエルほど、好一対の対照をなす国はない。まるで激動の「アジア」の東と西の端へと、生き別れた双子のようだ。
本書も紹介する、MNNAという概念がある。米国の主要な同盟国(メジャー・アライ)のうち、NATO以外の国(ノン・ナトー)という趣旨だ。日本とイスラエルは、ともにその一角をなす。


イスラエル建国の当初は、アメリカもそれなりに中立性を意識していた。あまりに一面的な肩入れをすれば、アラブ諸国をソ連の側に追いやるリスクがある。1956年のスエズ動乱でアイゼンハワーは、イスラエルおよび英仏軍に撤退を勧告し、エジプトの主権を守った。
転機は60年代だった。ケネディはイスラエルが核開発に走るのを抑える目的とはいえ、通常兵器の供給を大きく強化する。そして68年に同国が秘密裏に核保有したとき、後継のジョンソンはCIAの報告を握りつぶし、黙認した。
ベトナム戦争の泥沼に国力を割かれる中で、中東の秩序を公平に維持する余裕を米国は失っていた。その中で67年の「六日戦争」にイスラエルが完勝したことが、後戻りをできなくする。
亡国の民と呼ばれ辛酸を嘗めたユダヤ人にとって、勝利が与えた安堵と誇りは決定的だった。以降、イスラエル政府の「行動を批判しないこと」を絶対の規範とする支援団体が続出し、ロビイングを通じてアメリカの政策を縛り始める。
70年代から中東和平が進んでも、軍事行動を起こしては「抑える代償として支援を」と求めるイスラエルの癖は変わらない。それは同じ米国の同盟国でも、戦後に日本が来た道の鏡像である。
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