オリオンビールはこうしてブランドになった

村野 一 オリオンビール代表取締役社長

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沖縄で愛される「県民ビール」を世界へ

 オリオンビールは昨年9月に東京証券取引所プライム市場に新規上場を果たしました。みなさまからの沖縄が好き、応援したいという期待も追い風となり、想定以上の評価をいただくことができました。グループの売上高も4年連続で過去最高を更新。沖縄で70年近く「県民ビール」として愛されてきたオリオンビールですが、今や県内だけでなく日本中で、そして世界でも愛されるブランドに成長しつつあると実感しています。

 1957年、戦後の閉塞感が残る沖縄で、創業者の「島の若者に勇気と希望を与え、やればできることを示したい」という想いから出発したオリオンビール。今や観光客の認知度が96%を超えるなど、沖縄を代表するブランドとして確固たる地位を築いているが、2021年に村野一氏(64)が社長に就任した当時は、コロナ禍の影響で業績が落ち込んでいた。

 2021年、ヘッドハンターからオリオンビール社の社長就任を打診された時、私はちょうど沖縄県宮古島への移住を考えていました。子供の頃に掲げた夢がある程度叶い、第二の人生を歩もうかと考えていたのです。その夢とは、「国際ビジネスマンとして働くこと」と「会社を経営すること」。

 1985年にソニーへ入社して以来、81カ国でビジネスに携わり、ソニーハンガリー、ソニーメキシコ、外資系出版社のデアゴスティーニ・ジャパン、シェービング製品製造大手のシック・ジャパンと、4社の社長を務めてきました。そろそろ第一線を離れ、家族とのんびり過ごすのも悪くないんじゃないか――そんなことを考えていたのです。

 21年6月には、家族で宮古島北西の伊良部島のホテルに滞在しました。ところが、世の中はコロナ禍の真っ只中。ホテルでは食事はできても、お酒の提供はありませんでした。どうしてもワインが飲みたくなった私は、車を走らせて近くのコンビニへ向かったのですが、残念ながら好みのワインは置いていない。ふと冷蔵ケースに目をやると、そこに燦然と輝いていたのがオリオンビールでした。

「そうか、沖縄といえばオリオンビールか」

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source : 文藝春秋 2026年10月号

genre : ビジネス 企業