「文藝春秋」の編集者が明かす、電子版限定の“ここだけの話”
8月中旬。阿蘇くまもと空港に、私は生まれてはじめて降り立ちました。出張で訪れた理由は、7月末に発生した熊本地震について、木村敬知事にインタビューするためでした。
空港を出ると、『ONE PIECE』の巨大壁面パネルが目に飛び込んできました。調べてみると、作者の尾田栄一郎さんが熊本市の出身で、2016年の地震後に「必ず助けに行く」というメッセージを発信したことをきっかけに、熊本県と連携した『ONE PIECE 熊本復興プロジェクト』が各地で実施されているといいます。

取材場所として指定されたのは、熊本駅から少し離れた熊本県庁の横にある、防災センター。「東京都」と背中に印字された上着を着用した方が何人も出入りしていました。しかし、発災から3週間が経ち、職員の多くは被害の大きかった南部に出向いているからか、想像していたより落ち着いた雰囲気でした。

3年前に運用開始された施設で、1階には熊本地震や豪雨の経験を伝える展示があり、子どもたちが学習の場として訪れていました。10年前に起きた地震では、ピーク時に約18万人が避難していたという記録や、今後への教訓などの展示を見て、私も東京の自宅にある防災セットの中身を見直そうと決意します。その意気のまま、木村知事のインタビューに挑みました。
「遠いところよくいらっしゃいましたね」
報道でもよく見る、紺をベースにした繋ぎを着た木村知事は、穏やかな口調ながらも理路整然と質問に答えてくださいます。中でも印象的だったのは、自身が生まれつき左の手首から先がない、障害程度等級3級であるという経験を活かして、各自治体に福祉避難所を設置したほか、一般の避難所の中に知的障害のある子どもとその家族のために部屋を作った、というお話でした。飾らない性格で、普段は自宅から自転車で出勤しており、職員に「おはよう」と声をかけながら登庁しています、とにこやかにおっしゃっていました。
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