【し】「終息」か「収束」か自分の感覚で選んでOK

日本語探偵

飯間 浩明 『三省堂国語辞典』編集委員
ニュース 社会
国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。

【し】「終息」か「収束」か自分の感覚で選んでOK

 2020年に深刻化した新型コロナウイルスの感染拡大は、しゅうそくの見通しが立ちません。と、この「しゅうそく」をどう書けばいいのか、ネットでは繰り返し疑問の声が上がっています。

 私は、ツイッターで「結論を言えばどっちでもいい」と書きました。「終息」は「おわる」「やむ」こと、「収束」は「(広がったものなどに関して)おさまる/おさめる」ことです。漢字の意味からするとそうなります。書き手の言い表そうとする意味合いによって、「感染拡大の終息」「感染拡大の収束」と書き分ければいいのです。

 ツイッターでの私の投稿は1000人ほどから「いいね」をもらいました。でも、この程度の発信力では世間の人々の疑問を解消するには至りません。今日もどこかで「終息? 収束?」という疑問が生まれているはずです。

 報道を見ても、「終息」「収束」は混在しています。新聞の校閲者から聞いた話では、あえて両者を統一してはいないそうです。統一するのは無理だし、不適切でもあります。一方だけに限定すると、表現の幅が狭まってしまいます。

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source : 文藝春秋 2020年6月号

genre : ニュース 社会