東日本大震災や北朝鮮、イラク、沖縄などをテーマに写真集を出してきた写真家の初沢亜利さんが、新型コロナウイルスの感染拡大で一変した東京の街並みやそこに生きる人々のスナップ写真を収めた『東京、コロナ禍。』を出版した。初沢さんは6歳から東京に住み続けているが、これまで慣れ親しんだ土地について「あまり真剣に撮ってこなかった」という。
「東京人は東京を撮るべきだという思いは数年前からずっとあったんです。ただ、北朝鮮やイラクや沖縄とは違い、東京という都市を撮るのは自画像を撮るような感覚があって。それで躊躇していたんですが、2020年は東京五輪もあるし、この都市が大きく変わっていくだろうと。そこで、3年ぐらい撮りためていずれ形にできればという漠然とした思いはありましたが、すぐに写真集にまとめるつもりもなく、年明けからあちこちを撮り始めていたんです。そうしたらコロナで一気に様子が変わってしまった」
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source : 文藝春秋 2020年10月号