原研哉(はらけんや・デザイナー)
「直感で跳んで、論理で着地する」
理想のデザインの在り方をそう表現する原研哉(62)。「無印良品」をはじめ、企業や商業施設のブランドビジュアルを数多く手掛ける。「技術」ではなく「理」からデザインを導く。シャープペンシルで描く線は、思考の輪郭を浮かび上がらせる影のようだ。著作も数多い。
「デザイナーなのに、なぜ書く仕事をするのかと言われますが、デザインというのは、物事の本質を見つめて可視化すること。哲学者こそデザインをするべきです」
思索的な風情からは想像できない一面もある。訪れた国や展覧会で気分が高揚すると、ひょいと跳び上がり、その姿を記念に撮り溜めているという。密着したある日は21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会最終日。
ちょっと跳んでいただけますか―。原はそんな無茶な注文を面白がってくれた。直感と論理。相反する能力を行き来して躍動し続ける理由を、垣間見る思いがした。
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source : 文藝春秋 2020年12月号