杉本博司(すぎもとひろし・現代美術作家)
日本にここまで長く滞在するのは数十年ぶり。70年代からニューヨークを拠点に活動し、「最近は1年間に地球を2周半するほど海外を往来していました。コロナの影響でここ半年は日本にいます。時差ボケがなく、すこぶる体調がいい」と今を愉しむ。
美しいモノクロの写真をはじめ、建築デザインや舞台演出など多彩なアートワークで現代美術の第一線に立つ。東京のアトリエでは日の出とともに起床し、日中は手を動かし続けて創作に励み、夜9時に就寝する。地道で規則正しい日々は、華やかなクリエイターが多い昨今、まるで職人のようだ。「肩書は職人でいいかも(笑)。そもそもアートは飾り立てることではありません」とちくり。「技を極めたところに神は下りてきます。日本には古来の技を継ぐ熟練の職人が大勢いる。その技を現代流に表現して伝えていくことが、作家としての私の務めです」
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source : 文藝春秋 2021年5月号