「ふつうの家族」の思い込みを解体する
ステップファミリーとは、再婚などによって、血のつながりのない親子関係が生じた家族のことだ。
離婚が増えれば再婚も増える。再婚が増えればステップファミリーも増える。子どもが親の離婚を経験するリスク(確率)はこの50年あまりで5倍以上になり、結婚したカップルに占める再婚の割合は26.7%(2018年)にまで上昇したことが厚生労働省の統計でわかっている。
だが、親の再婚を経験した子どもの数は国の統計にはない。これは、日本社会の無関心を反映していると本書は言う。
増えているにもかかわらず実態が見えにくいということは、当事者の悩みに手を差し伸べられることが少ないということだ。
本書では、ステップファミリーが直面する問題を、子どもの権利と幸福という視点からとらえ、論じている。最大の特徴は、この「子どもの立場から考える」という点で、そのことで初めて見えてくるものがある。
私はステップファミリーについて雑誌にルポを書いたことがある。いまから20年前のことだ。そのとき、多くの継母、継父が「継子を本当のわが子のように愛せない」「継子に実の親への愛着があり、自分を母(父)とみなしてくれない」という悩みを語った。どうやったらそれを乗り越えて「ふつうの家族」になれるか、というのが共通した課題だった。おそらく現在もそうだろう。
それに対し、――いや、そうじゃないよ。継子をわが子と同じように愛するというのは非現実的なことで、そこにとらわれているとうまくいかないよ。特に子どもに負担をかけてしまうよ――そう説くのが本書である。そこには20年にわたる研究による裏付けがある。
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source : 文藝春秋 2021年5月号