小室さんの「勘違い」が令和皇室にもたらすものとは?
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▶︎要するに、小室さんが公表した文書は「国民に向けての文章」ではない。国民にわかってもらおうとする文書ではない
▶︎小室さんの考える法律論と、日本社会に根づくより広義の“貸し借り”の感覚に決定的なズレがある
▶︎眞子さまが小室さんと結婚すれば、お二人はいずれ天皇の姉と義兄になりますから、どうしたって注目され続けます。象徴天皇制がこれからどうあるべきか、国民と皇室でもっとキャッチボールすることが必要
(左から)江森氏、片山氏、河西氏、山口氏
「国民に向けての文章」ではない
江森 秋篠宮さまは昨年11月の誕生日会見で小室圭さんに対し、小室家が抱える金銭トラブルについて、「対応が目に見える形になる」ことを求めました。今回、小室さんが公表した28枚にわたる説明文書はその回答と言えるものです。
河西 私は、こんな論文調の文書が出てくるとは夢にも思いませんでしたね。正直な感想を言うと、学生の出来の悪いレポートを読まされた印象があります。私は象徴天皇制の研究をしているので、皇族が書かれた文章や記者会見の文章を読みますけれど、それに比べると「うーむ」という感じ。本文の前に「概要」が4ページもあってけっこう長い(笑)。もう、そこで挫折しそうになりました。さらに脚注が13ページもあるから、とにかく読みづらい。
片山 裁判の上申書のような印象ですね。私は思想史の研究をしていて裁判記録をよく読むんですが、この文書はそれによく似ている。
山口 私もそういえば、法律家の卵だった時に、背伸びしてこういう文章を書いたことがありました(笑)。一流の法律家を目指すなら、全体のストーリーや言い回しを含めて、改善の余地はありますが。
江森 大切なのは中身です。文書には、「私と眞子様の気持ち、そして結婚に対する思いに変わりはありません」とあります。しかし、残念ながら、文書公表後、世間の祝福ムードは高まっていません。
河西 要するに、これは「国民に向けての文章」ではないんですよ。国民にわかってもらおうとする文書ではない。
片山 この文書をステップにして金銭トラブルを解決したい、そして秋篠宮さまや宮内庁に結婚を認めてもらいたいというのがある。だから言質を取られない形で最大限弁明し、何もツッコまれない内容にしておきたい。何かを「伝える」文章ではなく、「守り」の文章だと。叩かれることを恐れている人間だったら、私でも同じように書くかもしれない。あまり好きな文章ではないですけど。
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source : 文藝春秋 2021年6月号