貴乃花光司の「義」

15歳の初土俵から31年目の角界引退

二宮 清純 スポーツジャーナリスト
エンタメ スポーツ

若貴フィーバー、22回の優勝、理事長選出馬、貴ノ岩暴行事件……。

平成を駆け抜けた大横綱はいったい何と闘い続けてきたのか

貴乃花親方 ©文藝春秋

 日本相撲協会に「引退届」を提出した3日後の9月28日朝、貴乃花親方と電話で話をしました。

 体調が心配だったので、「大丈夫ですか?」と問うと、「大丈夫ですよ」と吹っ切れた声が返ってきました。

 そして、親方はこう続けました。

「少しずつ、人生を取り戻せています。ご飯の味、お酒の味……。おいしさを感じるようになったんです。それまではただ寝て、起きてという日々でしたから……」

 声を聞いて安心した私は、ちょっと意地悪な聞き方をしました。

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source : 文藝春秋 2018年11月号

genre : エンタメ スポーツ