著名人が父親との思い出を回顧します。今回の語り手は、蛭子能収さん(漫画家)です。
私の故郷は長崎県長崎市にある漁業の町。父はその町で遠洋漁業の漁師として働いていました。底引き網漁をする「阿波船団」という漁師の集団の団長を務めていたらしいです。人の良い顔をしていましたよ。
1カ月は船に乗っていて、家に帰ってくるのはほんのたまにだけ。姉は集団就職で家を出ており、母と兄と3人で暮らしているようなものでした。でも、父は家族との時間は大事にしていました。漁が終わったら漁師仲間との飲み会には一切出ず、家にまっすぐ帰ってきていた。母とも仲が良く、喧嘩をするのは一度も見たことがありませんでした。
父が漁から帰ってくると、獲ってきた魚が食卓に出るようになる。焼き魚とかお刺身とか……毎日食べ過ぎて魚嫌いになってしまいました。小学生の頃から「魚だけはもう2度と食いたくない」と。漁師の息子なのにね(笑)。見かねた母はよくカレーライスを作ってくれて、それが私の好物でした。今でも魚は、自分からは進んで食べないです。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2022年2月号