著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、萩本欽一さん(コメディアン)です。
僕のお母ちゃんは、昔では珍しい女学校出。そして箱入り娘だった。オヤジは小学校しか出ていないから、2人の結婚にお母ちゃんの両親は大反対。でも、「せっかく私のことを好きだって言ってくれているんだから」と言って、オヤジと一緒になったそうです。
心地よい、不思議な言葉を持った人でね。僕が子供の頃から、褒められると思ったら、褒めない。怒られると思ったら、怒らないんだ。全く逆になっちゃう。悲しい話も、お母ちゃんが喋ったら悲しくなくなる。
僕が高校生の時。新聞配達を始めて、朝の4時半に起きるようになったの。目覚まし時計をかけておいて、起きた瞬間に音をパッと止める。そうやって支度をしていたら、お母ちゃんも起きてきた。「大変だから、僕一人で大丈夫だよ」。そう言ったら、こっちを睨みつけてすごい剣幕で怒ったの。
「私は何を言われようと絶対に起きます! とやかく言われる筋合いはない。起きるなって言っても起きる!」
言葉はきついんだけど、そこに深い愛情を感じたね。このお母ちゃん、好きだな、すっげえ人だなって。
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source : 文藝春秋 2022年2月号