「ミシンと金魚」著者・永井みみさんインタビュー

著者は語る

エンタメ 読書

 文学界に彗星のごとく現れた作家の永井みみさん。現在56歳。ケアマネージャーとして働くかたわら執筆した『ミシンと金魚』が話題だ。これがデビュー作。すばる文学賞を受賞し、選考委員は口を揃えて「傑作だ」と絶賛する。

「今から20年以上前ですが、小説の執筆に集中して取り組んだ時期があったんです。当時の私は専業主婦でしたが、作家になりたくて。自分なりの方法論も持っていたんですね。でも、2004年に芥川賞を受賞した金原ひとみさんの『蛇にピアス』を読んで衝撃を受けた。わずか20歳ながら、彼女の経験の蓄積と身を削る姿勢に圧倒されて、『これは私には無理だ』と諦めていたんです」

 それからは訪問ヘルパーとして6年働き、現在のケアマネージャーになって6年が経つ。今作は、そんな永井さんの現場体験を活かした作品とも言える。

 主人公のカケイさんは認知症だ。ろくに足腰が立たず、嫁に浣腸されて排泄し、トロミをつけないとお茶が飲み干せない。「半分、死んでる」。カケイさんは自嘲気味に語る。だが、物語が3分の1を過ぎたあたり、彼女がポツリ、ポツリと語り始める人生は、壮絶そのものだ。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2022年4月号

genre : エンタメ 読書