今年4月、静岡県裾野市の副市長に就任しました。27歳の副市長は全国最年少。当時34歳の村田悠市長はよく「2人足しても61歳」と言っていました。都道府県知事や政令指定都市の市長の平均年齢が61歳であり、前例がないような若いコンビです。
私は東大法学部を卒業して総務省に入省。3年後、ベンチャー企業に転職して、自治体の行政デジタル化プロジェクトに従事していました。
それが今年1月末、初当選したばかりの村田市長から突然、副市長を打診されました。市内では折しも、トヨタによる、人、建物、クルマなどが情報でつながる実証実験都市『ウーブン・シティ』が建設されている最中。市としてもデジタル化を進めたいとの思いから、私を1本釣りしてくれたそうです。
まさか人生にこんなことが起こるとは……という展開でしたが、振り返ると、自分の歩みはすべて今に繋がっていたと感じます。
私は横浜市で生まれ育ちました。実家は商店街で食料品店を営んでいましたが、大型スーパーの出店などにより、私が小学校低学年の時に閉店。経済的に大変な時もあったようですが、そのぶん両親は、私に残せるのは教育しかないと、国際機関の紛争や貧困に関するイベントなどによく連れていってくれました。それがきっかけでニュースや新聞をよく見るように。その中で行政批判を目にするうちに「自分も何か公共分野に貢献したい」という思いが芽生えます。高校生の時には官僚を目指すようになりました。
大学生の時に出会った分野が「行政のデジタル化」でした。特に、市民がテクノロジーを使って地域社会の困りごとを解決するシビックテックと呼ばれる活動を知り、のめり込みました。
総務省では、マイナンバー制度を担当。業務外でもシビックテックの団体を立ち上げ、各省庁の報告書横断検索サービスを作ったりしました。
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source : 文藝春秋 2022年7月号