私の好角家歴

巻頭随筆

ライフ スポーツ

 今年5月、日本相撲協会・横綱審議委員会の委員に就任しました。私が相撲に興味を持ったのは小学生の頃で、好角家歴はもう半世紀にもなります。委員の依頼を受けた時は本当にびっくり。子供の頃から「横審の委員ってえらいんだろうな、どんなことを話し合っているのかな」と思っていたので、よもや自分がその一員となる日が来ようとは……とても光栄なことだと思っています。

 相撲を好きになったのは、同居していた母方の祖母の影響でした。好角家だった祖母は、本場所開催中はテレビの大相撲中継を必ずつけていました。それがうちの日常だったので、私も自然と相撲に親しむようになったのです。

 祖母の出身は岩手県の陸前高田。祖父の仕事の都合で北海道、韓国、東京とあちこちに引っ越しましたが、やはり東北地方に思い入れがあったようです。北海道出身の元横綱・大鵬はもちろん、秋田出身の元大関・清國を贔屓にしていました。テレビで見るたびに「いい男だね」「肌が綺麗だねぇ」と褒めちぎっていたのが懐かしいです。

 小学校高学年になると、同じく相撲好きとなった姉と一緒に、ベースボール・マガジン社が発行する専門誌『相撲』を愛読するようになりました。『相撲』には当時、幕内力士の半生を描く漫画が掲載されていて、それが私のお気に入りでした。どの力士も、家庭が貧しかったり、大きな怪我をしてしまったり、苦労を重ねた経験を持っている。様々な苦労を乗り越えて今の地位を掴んだバックグラウンドを知ることで、

「お相撲さんがこんなに頑張っているんだから、私も全力で応援しなくちゃ」

 と、子供ながらに決意を固めました(笑)。

 なかでも、私の胸を強く打ったのは、アメリカのハワイ出身である元関脇・高見山の物語でした。運送会社で働いていたところをスカウトされ、1964年の2月に19歳の若さで来日します。羽田空港に降り立つと雪が降っていて、南国育ちの高見山は驚いたそうです。

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source : 文藝春秋 2022年8月号

genre : ライフ スポーツ