お金さえあれば何とかなる世の中はもう終わる
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終身雇用を約束されて企業に入り、年功序列で主要なポストに就く。そして、定年退職を迎える。老後資金は十分貯まっているので、残りの人生は悠々自適――。これが、戦後の日本人が理想としてきた「人生モデル」でした。リタイアした私たちの先輩の多くは、このような人生をまっとうしてきたと思います。
しかし、この「人生モデル」はすでに崩壊しつつあります。私たちが先輩たちと同じ道を歩むことはできません。なぜならば、この人生モデルは、世代が循環することを前提に設計されているからです。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の推計によると、今から約50年後の2067年には、年間出生数54万6000人に対して100歳以上の人口は65万5000人になると言われています。つまり、生まれてくる赤ちゃんよりも、100歳以上の高齢者のほうが多いのです。
残念ながら、今後、日本の少子高齢化と人口減少が止まることはありません。2015年に約1億2700万だった日本の人口は、50年後の2065年には約8808万、100年後の2115年には約5056万にまで減少すると言われています(社人研の推計による)。
それに伴って、労働力人口(15歳以上の人口における労働従事者の数)も減っていきます。国勢調査によると、2015年の労働力人口は約6075万。そして、内閣府が2014年に試算した将来推計によると、諸々の労働環境が現状のまま推移すると仮定した場合、2030年には約5683万、2060年には約3795万にまで落ち込むとされています。
絶対数が減ることは然ることながら、注目すべきは労働力人口の中で“高齢化”が進行していることです。2015年の労働力人口における50歳〜64歳は約2372万人。単純計算でも現時点で3分の1を占めています。さらに、社人研の推計によれば、2040年には50歳以上が占める割合は4割を超えるといいます。つまり、多くの企業は益々上の世代が詰まった「逆ピラミッド型」になり、若い世代にはポストがなく、昇進もできなければ賃金もずっと上がらない――。
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source : 文藝春秋 2018年08月号