危機の時代になると、未来の予測への需要が急速に高まるようである。いま、そうした長期予測が各方面で行われている。
それらを参考にしつつ、2050年の世界の予測を――主にパワーの観点から――あえて試みることにする。
まず、人口とGDPの趨勢である。それらは国々のパワーを最も直接的に左右する。
人口規模は、インド、中国、ナイジェリア、米国、インドネシア、パキスタン、ブラジルがG7となるだろう。(国連「世界人口推計」2017年改訂版)
次に、経済規模は、中国、米国、インド、インドネシア、日本、ドイツ、ブラジルの順となる。(エコノミスト・インテリジェンス・ユニット長期マクロ経済予測、2015年)
世界は、中国、インド、米国の三国志の時代に突入する。ただ、戦略的、軍事的には米国が中国とインドに比してなお優位を保っているだろう。ただ、米国が世界にとって「予測できる安定勢力」から「不確実な変数」、さらには「かく乱勢力(ディスラプター)」へと変質するかもしれない。米国の最大のリスクは内政である。
その点は中国も変らない。2030年代の中国は、習近平路線の外への覇権と内での専制に対する「調整」局面に向かうだろう。債務と人口減が成長の足を引っ張る。中国エリート層の海外逃避が止まらなくなる可能性もある。
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source : 文藝春秋 2018年07月号