日本電産・ポスト永守は誰だ、日航の稲盛ドクトリン、進まぬ伊勢丹改革、ヤフー新社長の重責

丸の内コンフィデンシャル

ビジネス 企業

★ポスト永守は誰だ

 日本電産の永守重信会長兼社長が意気軒高だ。1月の決算説明会では電気自動車、ロボット、省エネ家電、ドローンの4つの成長分野に経営資源を集中する方針を打ち出し、「4つの大波に乗る」と豪語。この“永守宣言”を受け、株価は急伸。「言わば永守プレミアム。プレゼン能力の勝利でしょう」(アナリスト)と冷ややかな見方もあるが、昨年末の大納会の株価に比べ一時は17%値上がりした。

 この転換期に、今年74歳になる永守氏の去就が注目されている。昨年11月、永守氏は「75歳までに社長を退く」と表明。企業経営に加え、今度理事長に就任する京都学園の経営で一層多忙となるため、「会長とCEOに留まるが、後継者を社長に指名する」という。さらに今年1月の会見では「60歳代の人に渡す時代ではない。相当若返りを図る。長男は46歳で、仮に(社長の座を)渡すならこれくらいの人でないと」と、後継社長の条件として“若さ”を挙げた。この発言で、「ポスト永守の最有力候補」とされていた元シャープ会長、60歳の片山幹雄代表取締役副会長の線は消えた。

 そこで「ポスト永守のトップランナー」に浮上したのが、同社取締役副社長の吉本浩之氏だ。2015年、日本電産トーソク社長にヘッドハンティングされ、永守氏が重要な成長の柱と位置付けている電気自動車事業を含む車載事業本部長を任され、昨年6月に現職に就任。もう1人の候補は、2017年8月に日本電産サーボ社長に就任した辰巳剛司氏。片山氏が呼び水となってシャープの事業部長クラスから移った三羽烏の1人だ。今後の成長の柱となるIoTを担当している。

 気になるのが永守氏の2人の息子の存在だ。長男の永守貴樹氏は東証一部上場レックの社長。やり手と評判である。次男の永守知博氏は富士通、日本電産のグループ会社を経て現在はベンチャー起業家だ。永守氏は「親族は絶対に会社に入れない」と明言しているものの、本当にそうなのか。なお、この4人は現在、全員40〜50歳の間だ。

 永守氏は本当のところ、「社長の椅子は譲っても、経営権を譲るつもりはさらさらない。会長兼CEOとして陣頭指揮し、業務の3割程度を社長に移管するぐらいだろう」(同社幹部)というのが、関係者の一致した見方ではある。だが兜町では「3割業務を譲れば、それだけ“永守プレミアム”が剥がれ落ちるのではないか」と懸念する声もある。永守氏が宣言したリミットまであと僅か。後継者争いから目が離せない。

★日航の稲盛ドクトリン

 日本航空(植木義晴社長)が社長交代を発表した。4月1日付で現在、整備本部長の赤坂祐二常務執行役員が社長に昇格し、植木社長は代表権のある会長に就く。

 赤坂氏は東京大学大学院で航空工学を学び、1987年に日航に入社。以来、一貫して整備畑を歩む。パイロットや整備の現場は徒弟制度の色彩が色濃く残る。赤坂氏は整備部門の頂点に立ち、同部門の「天皇」と呼ばれる。反面、本社や海外での勤務経験はほぼない。社内外の知名度は低く、ダークホースが社長の座を射止めたようにも見えるが「経歴を踏まえると、今回の社長人事は順当」とある日航幹部は語る。現社長の植木氏はパイロット出身。その前任で現会長の大西賢氏も整備畑と位置付けられる。経営破綻以降の日航は「現場の人間」が社長に就いており、それが踏襲されたからだ。

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source : 文藝春秋 2018年03月号

genre : ビジネス 企業