陛下のご日常には難しいものがある──皇后さまはそう呟いた
平成11(1999)年に初めて参内して以来、何度御所に参内したことであろう。そのたびに天皇陛下、皇后さまのお言葉に触れ、お考えをお伺いする機会を得たのは、たいへん幸福なことであった。
両陛下のお言葉が世の中に伝えられる機会は、海外訪問やお誕生日会見のさいに限られており、そこからお二人の豊かなご人格を拝察することはきわめて難しい。特に皇后さまのお言葉は、平成に入り「陛下の仰せられるとおり」という意味が添えられることが多くなった。
しかし、私が耳にしたお二人のお言葉は、実に多面的で情感豊かなものであった。およそ1年後に迫る退位を前に、お二人の肉声を記録に残すことで、国民がそのお人柄に思いを寄せる機会となればと思っている。
「慰霊の旅」の深い意味
平成28(2016)年8月。生前退位のご意向をにじませた「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」がビデオメッセージとして放送された。
その、ほぼ1年前のことだった。
皇后さまは、こちらが辞去のために立ち上がると、ふと思いついたというように、驚くようなことを述べられることがあるが、この時もそうだった。
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source : 文藝春秋 2018年02月号