中国では、個人の「社会信用度」を評価するビジネスが急成長している。
レンタル自転車の返却時間に間に合わなかったり、コンピューターゲームにはまったり、ポルノを見たり、飲酒運転をしたり、借金を踏み倒したりすると、社会信用は減点となる。全体としての評価が低いと、自転車のレンタル賃貸契約は拒否され、シンガポールへの旅行許可が降りなくなり、就職や転職、さらには結婚にもマイナスになる。
アリババ系のアント・フィナンシャルの芝麻信用(ジーマ・クレディット)はじめ数社がこの分野に進出している。学歴・職歴、マイカー・住宅・資産の保有状況、過去の支払い履行実績、交友関係、消費行動などの領域で信用を点数化、信用度を350〜950点の範囲で格付けし、本人にも公開する。そこでの信用度が上がるとプラスになるため、積極的にこれらの領域の情報を入力する人がすでに数億人に達しているという。
中国共産党も、これを奨励している。信用の“見える化”をテコに品行方正な人民をつくり、体制安定に役に立たせたいからである。天安門事件関係のブログに党批判的なコメントを載せれば、それだけで200点減点を食らう。
世界の人権団体から疑問の声が上がっている。米国のACLU(米市民自由連合)は次のような見解を表明している。
「中国は、国家に完全従属する国民をつくる体制を2020年までに完成させるため、この制度を使おうとしている。ひとたびこれが完成すれば、誰もそこから抜け出すことは出来ない。これは、サイバーパンクのディストピアだ」
もっとも、私の友人の香港の有力実業人はやや異なる見方をしている。
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source : 文藝春秋 2018年01月号