私たちは、右と左が逆転した世界を生きている
最初にお断りしておくが、私は政治学者でも政治評論家でもなく、永田町情報にもさしたる興味はない。解散総選挙が行なわれるというときにそんな「門外漢」が安倍政権について書くとしたら、期待されていることがひとつしかないことはわかっている。それは、「常識とちがうことをいう」だ。
そこでここでは、「安倍政権はリベラル化しており、私たちは右と左が逆になった、不思議の国のアリスのような奇妙な世界に住んでいる」と主張したい。
とはいえ、これは妄言の類ではない。そこでまず、証拠(エビデンス)を示そう。
次の図は読売新聞社と早稲田大学現代政治経済研究所(田中愛治教授ら)による共同世論調査から、世代別の政党観を示したものだ。回答者は、「保守」を0、「リベラル」を10(中間は5)として、11段階で既成政党がどこに位置するかを答えている。
70代以上では、もっとも保守的なのは自民党、次いで日本維新の会(維新)、公明党で、民進党が中道、共産党がリベラルに位置づけられている。これは、メディアなどが前提とする「保守」VS「リベラル」の対立の構図と同じだ。
ところが政党の位置は年齢が下がるにつれて変わっていき、18〜29歳ではもっとも保守的なのが公明党、次いで共産党、民進党で、自民党は中道、もっともリベラルなのが維新になっている。驚くべきことに、いまの若者は共産党を「右派」、維新を「左派」と見なしているのだ。
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source : 文藝春秋 2017年11月号