労働者の支持を取り戻さなければ、リベラルの再生はない

なぜ米民主党は敗北したのか

マイケル・サンデル 政治哲学者

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いま知っておくべき論点を、専門家がコンパクトに解説する「文藝春秋オピニオン 2026年の論点100」。この人気ムックの記事を「文藝春秋PLUS」でも紹介します。

 ドナルド・トランプ米大統領は、2025年1月に再就任してから、権威主義にどんどん近づいています。心底ではプーチン大統領や習近平国家主席を羨ましいと思っているでしょう。今トランプ氏は大統領の権限がどこまで通用するか、その限界に挑戦しています。

マイケル・サンデル氏 ©EPA=時事

 では、なぜアメリカ国民は2024年の大統領選挙でトランプ氏を選んだのか。現状に満足していない人々が、変化を求めたからです。今回の選挙の焦点は、どの候補者が、自らを変革するリーダーだと提示できるかということでした。

 トランプ氏は、人々が抱えている2つの根源的な不満をうまくすくい取ったのです。

 ひとつは「自分たちが意味のある発言権を持っていない」、つまり自分たちの声は重要視されていないと思っています。

 もうひとつは、家族から、コミュニティ、国家にいたるまで、共同体の道徳的構造が崩れつつあると感じていることです。人々は拠り所を失い、社会とのつながりから切り離されたように感じ、帰属意識や誇り、連帯感を渇望しています。これは大学を卒業していない労働者階級が「エリート層から見下されている」と感じている不満とも関連しています。

支配エリートの侮辱的なメッセージ

 不満が生じた背景には、民主党と共和党が数10年にわたって、新自由主義的な市場重視型のグローバリゼーション政策を推進してきたことが挙げられます。この政策によって、所得と富の格差は拡大しました。国の上層部には莫大な報酬をもたらした一方で、下層の国民は賃金が停滞し、さらに雇用が海外へ流出するなど、経済的に苦境に立たされたのです。

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source : ノンフィクション出版 2026年の論点

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