国連安保理は9月、北朝鮮の第6回目の核実験に対する制裁として、同国への原油供給の年間上限を過去12カ月の総量に制限する決議案を採決した。
石油の全面禁輸を推していた米国に対して、中国とロシアは慎重論を崩さず、その妥協の産物として上限設定に落ち着いた。
これまで同様、生ぬるい制裁措置であり、今回もどれだけ効果が上がるかは疑わしいと見られている。たしかに、これまでの対北朝鮮制裁は、例外なくしり抜けとなってきた歴史がある。
その中で、北朝鮮が悲鳴を上げた制裁がある。
2005年秋、米国財務省が、マカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)が北朝鮮の資金洗浄に関与していると指摘し、マカオ当局が同国の口座の預金を凍結したケースである。口座には2400万ドルが預けられていた。
北朝鮮の金桂冠外務次官は同年11月の六者協議で、「金融制裁で凍結された2400万ドルを返してほしい」と必死に訴えた。彼はホワイトハウスNSC(国家安全保障会議)朝鮮半島担当のヴィクター・チャと2人だけの会話の際、「どうやったらわれわれを痛めつけることができるのかをついに見つけましたね」とつぶやいたと言う。
口座は、金の言葉を使えば、「エージェンシーズ」のものだった。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!
初回登録は初月300円
月額プラン
1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
900円/月
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2017年11月号