石油制裁という「新たな戦場」

新世界地政学 第75回

ライフ 政治 国際

 国連安保理は9月、北朝鮮の第6回目の核実験に対する制裁として、同国への原油供給の年間上限を過去12カ月の総量に制限する決議案を採決した。

 石油の全面禁輸を推していた米国に対して、中国とロシアは慎重論を崩さず、その妥協の産物として上限設定に落ち着いた。

 これまで同様、生ぬるい制裁措置であり、今回もどれだけ効果が上がるかは疑わしいと見られている。たしかに、これまでの対北朝鮮制裁は、例外なくしり抜けとなってきた歴史がある。

 その中で、北朝鮮が悲鳴を上げた制裁がある。

 2005年秋、米国財務省が、マカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)が北朝鮮の資金洗浄に関与していると指摘し、マカオ当局が同国の口座の預金を凍結したケースである。口座には2400万ドルが預けられていた。

 北朝鮮の金桂冠外務次官は同年11月の六者協議で、「金融制裁で凍結された2400万ドルを返してほしい」と必死に訴えた。彼はホワイトハウスNSC(国家安全保障会議)朝鮮半島担当のヴィクター・チャと2人だけの会話の際、「どうやったらわれわれを痛めつけることができるのかをついに見つけましたね」とつぶやいたと言う。

 口座は、金の言葉を使えば、「エージェンシーズ」のものだった。

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source : 文藝春秋 2017年11月号

genre : ライフ 政治 国際