核やミサイルより怖いのは、日本に潜伏する工作員だ
その男は喫茶店に入ってくるなり、眼鏡の奥の細い目でぐるりと客席を見渡した。筆者がいるテーブルに歩いてくると、出入り口が見える席に腰掛けた。外事警察の中枢でスパイを追ってきた男の流儀だ。
「警察を辞めることになった」
男は言った。
事情は深く語らない。現職時代のツテを生かして、収入を確保できると笑った。東西冷戦時代の旧ソ連の情報機関員や北朝鮮工作員を追い続けてきた知識や経験を民間企業で生かすことができるのだろう。
「半島危機の前に退職ですか。まだやり残したことがあるのでは?」
筆者が冷やかすと、男は想像した以上に顔を歪ませた。
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source : 文藝春秋 2017年08月号