官邸の圧力、天下り問題、醜聞報道……私に起きた出来事のすべて
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私が5月25日に開いた記者会見について、様々な報道がなされています。国会では私を証人喚問するかどうかで与野党の攻防も起きているようです。前事務次官という立場の人間が政権の中枢を敵に回すような発言をしたことから、私が天下り問題で次官を辞めさせられたことへの報復ではないかという論評も目にしました。ですが、私には安倍政権を攻撃したいとか、野党の政治的な思惑に加担したいというような意図はまったくありません。
私には、加計学園の獣医学部新設問題で行政が歪められていく様子を目のあたりにしながら、それを看過してしまったことへの忸怩たる思いがあります。昨年末に発覚した天下り問題では、文科省はその事実を隠蔽したことで大きな批判を受けました。私はその責任を取って次官を辞任したわけですが、今回また、加計学園問題で文科省は存在した文書がなかったかのように主張して、新たな隠蔽を行おうとしています。私は次官時代の自分自身の行動を懺悔するためにも、今度こそ本当のことを言わなければならないと考え、会見を開くに至ったのです。
私がなぜそう考えるようになったのか、会見では言い尽くせなかった文科行政への思いも含めて、説明させていただきたいと思います。
内閣官房参与と総理補佐官の言葉
まず、「加計学園」の獣医学部新設に関して、私が見聞きしたことを、時系列に沿って述べたいと思います。
私は昨年6月に文部科学事務次官を拝命しましたが、その直前の2014年から16年は文部科学審議官、その前の13年は初等中等教育局長を務めていました。加計学園の獣医学部新設問題を担当する高等教育局にはその当時在籍していなかったので、正直なところ、次官になるまであまり事情を承知していませんでした。
そんな私がこの案件について強く記憶している最初の出来事は、昨年8月下旬に、文科省の事務次官室を木曽功さんが訪ねてこられたことです。木曽さんは私の3期上の先輩です(編集部注・木曽功氏は元文科省官僚で1976年に文部省に入省し、文科省国際統括官などを務めた後、ユネスコ政府代表部の特命全権大使も務めて13年に退官。翌14年4月からは安倍政権の内閣官房参与に就任。そして昨年4月には、加計学園が2004年に開校した千葉科学大学の学長に就任している。本大学の客員教授には、かつて落選中だった萩生田光一内閣官房副長官や、第一次安倍政権で首相秘書官を務めた井上義行氏らが名を連ねていた)。
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source : 文藝春秋 2017年07月号