「籠池劇場」に翻弄される一強官邸

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森友、共謀罪、小池。3つの難問に直面する安倍の胸中は――

「事実は小説よりも奇なり。私が申し上げていることが正しゅうございます」

 3月23日、国会。午前は参院、午後には衆院で計約4時間半に及んだ学校法人「森友学園」理事長・籠池泰典の証人喚問は、まさに「籠池劇場」だった。NHKの平均視聴率は、関東地区で16.1%、関西地区が17.7%。民放も競うように中継した。同時間に行われていたワールド・ベースボール・クラシック決勝の視聴率が2.9%だったのと比べると、その関心の高さがうかがえる。

「金子(きんす)」「神風」など、独特の言い回しをちりばめながら、2015年9月5日に首相・安倍晋三の妻昭恵から100万円を受け取ったこと、昭恵付きの職員・谷査恵子から、財務省への照会結果を知らせるファクスを受け取ったことなどを生々しく語る籠池の姿を、日本中が食い入るように見つめた。

閣僚Sは誰だ

「これまで法相の金田勝年や防衛相の稲田朋美が集中砲火を浴びていたが、最近は私にお鉢が回った。2人にはいい休養だ」

 3月初旬まで安倍は、国会で再三質問を受けても、宴席でこんな軽口をたたく余裕があった。森友問題についての受け止めは〈大阪で少し不自然な国有地売買があり、籠池という個性的な人物を面白がってマスコミが騒いでいる〉という程度だったようだ。状況が一変したのは16日。籠池が「安倍夫人からの100万円」を暴露した時だ。

 予兆はあった。前日の15日、「閣僚S」が森友側とカネの授受があるという情報が流れたのだ。イニシャルSの閣僚は官房長官の菅義偉、厚労相の塩崎恭久、経産相の世耕弘成の主要閣僚3人。事実なら政権には大ダメージだ。ところが翌日、出てきたのは主要閣僚どころか首相にからむ話だった。Sとは「シンゾウ」だった……。

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source : 文藝春秋 2017年05月号

genre : ニュース 政治