想像を超える残酷な光景を前に慄然とした
すべての原因は、私自身の不注意にある。
10月27日から11月7日までの12日間、私はイラク北部を実効支配するクルド自治区の情報機関アサイシにIS(イスラム国)のメンバーではないかと疑われ、拘束されていた。
拘束されたことで多くの人に迷惑をかけてしまった。家族。仕事仲間。そして、現地でコーディネーターと通訳をしてくれたクルド人たち。私が捕まったことで彼らまで疑われ、尋問を受けた。彼らは私に怒ったが、当然である。私の疑いが晴れ、彼らも無事仕事に戻れたというが、心から申し訳なかったと思っている。
もちろん、私はISのメンバーではない。それどころか、今回私が同行取材をしていたのは、クルド自治政府の軍事組織ペシュメルガをはじめとするISに総攻撃を仕掛ける側の人々である。
戦闘の最前線で負傷して次々と運ばれていく兵士や、街に残されたISによる尋常ならざる支配の跡を目の当たりにして、私は慄然とした。
実は、当初の渡航目的は、イラクの取材ではなかった。現在もシリア国内で拘束されている友人のジャーナリスト、安田純平君救出の手掛かりを得るためだった。
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source : 文藝春秋 2017年01月号