安価な農産物輸入増とブランド産品輸出増…入り混じる懸念と期待
「国はGDP換算で13.6兆円の経済効果があるとしているが、農林水産業は国難ともいうべき大規模な市場開放を迫られており、農林水産業を基幹産業とする本県としてはTPPの影響を懸念している」(熊本県・蒲島郁夫知事のアンケート回答より)
開会中の臨時国会で、政府が最も重視するもののひとつが「環太平洋経済連携協定(TPP)」の承認とその関連法案の成立だ。
安倍政権はできるだけ早く承認を得たい方針だが、蒲島知事が指摘するように、農業が盛んな地方にはまだ警戒感も根強い。関税撤廃などに伴う輸入増加により、農作物や食品が熾烈な価格競争にさらされることを危惧しているのだ。
本誌編集部では、全47都道府県の知事にTPP発効への賛否などを問うアンケートを依頼。その結果、すべての知事から回答が寄せられた(回答の詳細については文末の表をご覧いただきたい)。
条件付きも含めた「賛成」は15都府県に対し、「反対」はゼロ。それ以外の32道府県は、アンケートの選択肢が「賛成」と「反対」の二者択一だったにもかかわらず、「どちらとも言えない」やそれに準ずる回答を寄せた。
まず少数派の「賛成」の回答を見ていくと、農業産出額の少ない首都圏の東京都や神奈川県、自動車産業の輸出の伸びが期待される愛知県、広島県、そして安倍首相のお膝下である山口県などだ。
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source : 文藝春秋 2016年11月号