市場もメディアも過敏に反応し過ぎだ
「やっぱりそうなったか」
6月23日に行なわれた、イギリスの欧州連合(EU)からの離脱をめぐる国民投票。離脱派が51.9%と過半数の票を集めて勝利したという結果を聞いたとき、私はそう思いました。
「欧州分裂、世界に打撃」「英国ショック」「世界経済に濃い霧」……。メディアはまるで戦争でも起きたかのように、この結果を連日大々的に取り上げました。
世界中のマーケットも即座に反応し、一時的にパニックに陥りました。開票の終盤、離脱が決定的となったタイミングが取引時間中だったアジア市場を手始めに、ヨーロッパ、アメリカへと株安は連鎖していきました。ニューヨークのダウ平均株価は610ドル安と、4年10カ月ぶりの下げ幅を記録、日経平均株価も1286円安に。これは約16年ぶりの下げ幅で、2008年のリーマンショックのときよりも大きかった。
これだけの騒ぎになったのは、離脱というイギリスの選択が、世界中で意外感をもって受け止められたからでしょう。しかし、私にはむしろ、この受け止め方の方が意外でした。イギリス人たちの気質、そしてEUとイギリスの歴史的関係を考えれば、いずれはこうなるのが自然体。私はそう考えて来ました。
もっとも、今回のイギリスの選択には、どうにも厄介で気掛かりな点もあります。この点は、後ほどまた立ち戻りたいと思います。
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source : 文藝春秋 2016年08月号