新年の気分が醒めやらない1月6日、午前11時少し前。中国地震ネットワークセンターが「北朝鮮で地震。規模4.9」と速報した。韓国大統領府（青瓦台）や外務省では、北朝鮮が年末に行ったとみられた潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）の発射実験の分析や、昨年末の日韓慰安婦合意を巡る追加措置などの検討で、多くの会議が開かれていた。

　そのうちのある会議に出席していた当局者が振り返る。

「何度も速報が流れるので、携帯に目をやった。北韓で地震といえば、可能性は1つしかない。おまけに震源地の深度はほぼゼロ、規模もいつもと同じだった」

　出席者たちの直感は共通していた。「4回目の核実験だ」

　ただちに、外務省では尹炳世外相主催の緊急会議が開かれ、青瓦台でも正午から国家安全保障会議（NSC）が招集された。情報は錯綜。震源地は核実験場がある咸鏡北道吉州郡豊渓里付近とも、北部の両江道白岩郡とも言われた。情報不足に焦る韓国政府関係者らの背中にさらに冷水を浴びせる声が、会議室に特別に設置したテレビから流れてきた。韓国では一般に視聴が禁じられた朝鮮中央テレビのアナウンサーが、厳粛な声でニュースを読み上げていく。

「正午（日本時間午後12時30分）から特別重大放送を行う」

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